技術解説・機材紹介

ライブ配信用語辞典/トラブル解決
【インターネット接続編】

ライブ配信に関する各種トラブル解決の参考になることを目的とした用語辞典です。
取り上げてほしい用語のリクエストもお待ちしています。

インターネット接続プロバイダ

インターネット接続事業者。プロバイダ,ISP(Internet Service Provider)とも。これに頼らなければ、利用者はインターネット接続できない。OCNやSo-net、BIGLOBEなど様々な業者がある。スマートフォンでは、NTTドコモ等の各通信キャリアがプロバイダを兼ねている。

自分がどのプロバイダを経由してインターネット接続しているかは、下記のサイトから確認することができる。
確認くん+

日頃から自分がどのプロバイダを利用しているか確認する癖をつけることで、万一の障害発生時にどのプロバイダに問い合わせればよいかで迷うことがなくなる。自分のPCが突然インターネット接続できなくなるトラブルが発生した際、接続しようとしているプロバイダを確認する方法は、ルータの接続先(プロバイダ)設定の確認である。

ルータ

ネットワークとネットワーク枠を繋ぐ、インターネット接続に必要な機器。一般的にはプロバイダと社内LAN等を繋ぐ。プロバイダから発行されたIDとパスワードを入力し、プロバイダを経由して利用者をインターネットに接続する。2021年現在では、無線LAN機能を内蔵したものも多く、手軽にノートPCやスマートフォンでインターネット通信を利用できる。

ルータがインターネットにつながらないトラブルはよくあるが、その原因は、プロバイダへの接続情報の設定間違いであることが多い。特にPPPoEのパスワードは大文字小文字が入り乱れ、間違えやすいので要注意。

プロバイダから郵送された書類の文字や、ルータ本体に記載されたパスワードなどが小さくて見えにくい場合には、スマホで写真撮影して拡大表示する手段が有効。プロバイダとルータが繋がったら、あとは社内LANとルータが繋がれば社内のPCはインターネット接続ができる。

光回線

利用者をインターネットに物理的に繋げてくれる回線。利用者宅と回線事業者の基地局を繋いでいる。

2005年頃まではメタルの電話回線を流用することが多かった家庭/企業向けのインターネット接続だが、2021年現在、多くはNTTが提供する光回線に移行している。プラスチックやガラスなどの素材でできており、LANケーブルと比べて折り曲げに弱い。

雑に取り扱い、実際にトラブルが発生した事例はコチラから。

技術解説:ライブ配信の事前現地調査 表紙画像は雑に扱われ、鉄扉によって破断した光ファイバの例(某ホテルにて) 事前現地調査は面倒ではない! ライブ配信におけ...

通信速度

単位時間あたりに通信できるデータ量。bps(bit per second)で表す。家庭用の光回線は理論値である100Mbpsや1Gbpsが広告に表記されることが多いが、実際にはその半分程度以下の通信速度であることが多い。DVDは5~8Mbps程度、地デジ放送は17Mbps程度。

実際のインターネットと自分のPCとの通信速度は、以下のサイトで測定できる。
スピードテスト

測定結果のping(ms)の値が低ければ低いほど、Download,Uploadの値が高ければ高いほど高品質な回線である。尚、この測定はあくまでも自分の端末と測定先サーバの2点間の通信品質であって、自分とすべての通信先に当てはまるものではない事に注意が必要である。

ライブ配信の打ち上げに関するトラブルで、通信速度不足に起因するものは多い。その場合は、より高品質な回線から打ち上げるか、回線品質内に収まるような打ち上げビットレートに変更することで、安定した配信に近づくことができる。他の用途との共有回線を利用している場合、特に本番中は他用途での利用を控えるよう、関係各所との調整も重要である。

東京ライブ配信株式会社では、光回線の敷設がない場所からでも4Gの共有回線を束ねてライブ配信を行うことができる”TVU Router” や “Teradek BOND” を常備。様々な環境からのライブ配信に備えている。

IPアドレス

インターネット上の住所と言われ、インターネットに接続された機器に最低1個割り当てられている。人類は従来使われていたIPv4アドレス(約43億個)を使い切りつつあり、2021年現在では約340澗個(1澗は1兆×1兆×1兆)の在庫を持つIPv6アドレスへの移行が徐々に進みつつある。

IPアドレス関連でのトラブルで注意したいのは、利用者がLAN内に好きなだけPCやスマートフォンなどの端末を繋ぐ行為。IPアドレスが自動割り当てされる設定のLANであっても、一定数を超えて接続された機器にはIPアドレスが払い出されず、インターネット接続ができない。

これはDHCP(IPアドレス自動割り当て機能)にて予め設定された、IPアドレスプールを払い出し尽くしたことが原因。ネットワークの管理が甘い場合や、管理者が存在しない場合に起こりやすく、そのような無法地帯で原因特定に至ることは大変困難である。

家庭用のルータではIPアドレスプールが少なめに設定されていることがあり、上記トラブルの原因となりやすい。事故を防ぐためには、日頃からのネットワーク管理が肝要だ。

rtmp通信ポート(1935番)

YouTubeLiveなどに代表される各種ライブ配信プラットフォームに動画を打ち上げる際に使われる通信ポート。rtmpプロトコルは1935番ポートを使って通信するルールになっている。

通信相手のIPアドレスまでたどり着けても、そのマシン上で動いているサービスにたどり着けない場合がある。自分が所属するネットワークの管理者がLAN内から外向きの通信を、ウェブ閲覧のみに制限している場合などがそれに該当する。

セキュリティが堅めの大企業や、公共性の高い施設のネットワークはこうした傾向にある。ブラウザでYahoo!JAPAN等のウェブページが閲覧できたからといって、YouTubeLive等への動画打ち上げができるとは限らないので要注意。

ライブ配信技術者が配信会場から、打ち上げ先サーバの1935番ポートに対して通信できるかどうかを事前確認するのは必須業務。速やかに確認できるよう、telnetコマンドに習熟しておくと効率よく業務がこなせる。

配信プラットフォームに対して実際に動画を打ち上げる試験を行うことでも、rtmp通信ポートが開いていることを確認することができる。