技術解説・機材紹介

エンコーダってなに?

エンコーダってどんなもの?

エンコーダとは、安定したライブ配信をするために映像や音声を圧縮する機材やソフトウェアのことです。

高画質の映像や、高音質の音声をそのまま配信しようとすると、思わぬところで映像が乱れたり、音声が途切れ途切れになってしまうことがあります。エンコーダを使って配信に適した形式に圧縮することで、画質や音質をなるべく落とさずに、そのようなトラブルが起こるのを抑えられます。

エンコーダを使って行う具体的な内容としては、

・解像度……動画サイズを表す、縦×横の目の数
・フレームレート……1秒間に使用するコマ数
・ビットレート……1秒間に使用するデータ量

などの項目を、配信環境に合わせて正しく設定することで安定した配信をすることができます。

エンコーダを使わなくても配信できる

実は、専用の「エンコーダ」を用意しなくても配信できます。

YoutubeやInstagram、Facebook、LINEなどのアプリケーションにはエンコード機能が備わっているので、パソコンやスマホと、ネット環境さえあれば、どこでも手軽にライブ配信をすることができます。

では、どうしてそんなに手軽にライブ配信ができるにも関わらず、エンコーダを使うのでしょうか。

どうしてエンコーダを使うの?

エンコーダを使わない配信では、パソコンやスマホなどの端末についているカメラやマイクを使用します。
パソコンやスマホのカメラは設定がオートになっていることが多く、配信中にカメラのホワイトバランスやピントが変わってしまったり、マイクで必要のない音まで拾ってしまったりしてしまいます。

手軽に配信できる代わりに、配信のクオリティは下がってしまうということです。

エンコーダを使うと、自分の使いたいカメラやマイクを使うことができるので、カメラの設定やマイクの種類、位置などを調整し、よりクオリティの高い配信ができます。

エンコーダの種類

エンコーダには、ハードウェアエンコーダとソフトウェアエンコーダがあります。

ハードウェアエンコーダは、エンコード専用の機器です。基本的にパソコンは不要で、本体のみで使えます。
ソフトウェアエンコーダは、エンコード専用のソフトウェアです。ダウンロード、もしくは購入したものをパソコンで操作して使います。

ハードウェアエンコーダ

メリット:エンコード専用機なので、PC上で動作するソフトウェアエンコーダに比べて比べて安定性が高い。余分な機能が付いておらず、トラブルも少ない。
デメリット:初期費用が掛かる。最新のソフトウェアエンコーダの方が、より詳細な設定ができる。

■LiveshellX

価格:76,780円
サイズ:横:102 mm × 奥行:100 mm x 高さ:42 mm
特徴:
本体のみで配信・録画が可能。1台で最大3つの配信先に同時に配信することが可能。
コメント:
手の平に乗せられるほど小型なので置き場所にも困りません。
弊社では360度カメラのRICOH THETAと合わせて、社内の監視カメラシステムとして使用しています。

こちらから購入できます。

ソフトウェアエンコーダ

メリット:無料で使えるものもあるので手軽に配信できる。色々なエンコーダがあるので用途に合わせて使い分けることができる。
デメリット:パソコンのスペックが足りないと正常に動作しない。また映像や音声をパソコンに取り込むためにキャプチャーデバイスが必要になる。

■OBS Studio

価格:無料
対応OS:Windows、Mac
特徴:
基本的な機能が備わっている。
配信画面にテロップを入れたり、スライドショーを入れたりすることも可能。
コメント:
無料のソフトウェアエンコーダの中でも利用者が多く、初めてエンコーダを使う人にもオススメです。
複数配信できるプラグインや、特定のアプリケーションの音だけを配信に乗せられるプラグインなど、他にも様々なプラグインがあり、幅広い用途に対応しています。

こちらからダウンロードできます。



■Flash Media Live Encorder

価格:無料
対応OS:Windows、Mac
特徴:
一目で設定を確認できる。
設定できる項目はOBSに比べると少ない。
コメント:
Adobeが公開していたソフトウェアですが、現在は公開を終了しています。
シンプルな設定画面がFMLEの良さではありましたが、慣れればOBSの方が便利かと思います。


■Wirecast

価格:Wirecast Studioが599ドル、Wirecast Proが799ドル
対応OS:Windows、Mac
特徴:
配信画面に透かしが入るが、無料版もある。
多機能かつ安定した配信が可能。
コメント:
7万円を超える有料のソフトウェアですが、細かな配信の設定ができ、複数の配信先への配信や、4Kでの配信なども可能です。無料のソフトフェアに比べ、動作も軽く、安定しているので、プロの現場ではWirecastが多く使われています。

こちらから購入・ダウンロードできます。

エンコーダの選び方

誰もがスマホで手軽に写真や動画を撮れるように、配信も今となっては珍しいものではなくなってきました。

配信が身近なものとなった今、世の中の人々が配信に求める当たり前のハードルは高くなっています。
大事なところで映像が乱れてしまったら、見せたいものも見せることができません。
伝えたい内容のところでノイズが入ってしまったら、伝えたいことも伝えることができません。

手軽さやクオリティなど、なにを優先するのかはそれぞれの環境や配信内容によっても変わってきます。
「ライブ配信を始めてみたい!」ということなら、まずはYoutubeやInstagramなどのライブ配信機能を使ってみたり、「もう少しこだわったライブ配信をしてみたい!」ということなら、無料のソフトウェアを使ってみたり。

「もっと本格的なライブ配信をしたい!」ということなら、有料のエンコーダでもソフトウェアがいいのかハードウェアがいいのか、どちらが自分の用途に合っているのかを考えてみたらいいかもしれません。