技術解説・機材紹介

インターネット回線がなくてもライブ配信!Teradek社 BOND【機材解説】

弊社では、配信に影響が出ないよう、他の用途と共有しない配信専用の光回線を推奨しています。
しかし、テレワーク需要で光回線の敷設が混みあっており、2022年時点では注文から敷設まで約1か月かかってしまうようです。 そんな時、役に立つのが「BOND」です!

BONDってどんなもの?

「BOND」とは、携帯電話に使われる4G回線を複数束ねて使い、有線のインターネット接続回線がなくても安定したライブ配信を可能にする、エンコーダと送信回線が一体化した機器です。
※エンコーダについて詳しく知りたい方はこちら

アメリカのTeradek社が開発した製品で、複数回線をひとつに束ねる「ボンディング」という技術を使っているため、光回線のない環境でも大容量の通信を実現できます。

キャリアの異なる4G回線のSIMを組み合わせて使用することが可能なため、特定のキャリアで回線障害が起こったり、メンテナンスを行ったりしても、配信が途切れることはないので安心です。
有線LANを組み合わせることができる環境であれば、4G+有線LANでの使用でより安定したライブ配信を行うことができます。


BONDは同社の「CUBE」というエンコーダと合わせて使用する製品です。
東京ライブ配信では、CUBE755を使っているのでそちらと合わせた際の価格やサイズを紹介いたします。

価格:667,000円
サイズ:横:約120mm × 奥行:約100mm x 高さ:約45mm(CUBE755と組み合わせた状態)
特徴:CUBE755と合わせると無線が5つ、有線が1つ、計6つの回線を束ねることができる。
iphone用アプリ「TeraLink」を使うと、さらに4つの回線を合わせることができるので、最大で10回線を束ねて使用できる。あるキャリアの回線が一時的に調子が悪くなっても、残りの回線で同じクオリティの配信を維持することできる。

どんな時に使うの?

BONDを使用すると、以下のような状況でもライブ配信することができます。

  • 光回線が破断していた(詳しくはこちらの記事をご覧ください)
  • 本番までに光回線の敷設が間に合わない
  • 高層ビルや屋外、離島など光回線の敷設が困難な場所

BONDは映像や音声を「CORE」と呼ばれる専用のシステムからYoutubeやニコニコ動画、Vimeoなどの配信プラットフォームに打ち上げています。
Wi-Fiルータのような役割はないため、BONDを使ってパソコンや携帯からインターネットに出ることはできません。

実際の使用例

実際の現場でBONDを使用した例と、その際に起こったトラブル、その解決方法を紹介いたします。

駅前の商業ビルから行なったライブ配信でのことです。
設営後、本番前日の夜と、当日の朝に配信テストをして問題なく配信できることを確認していました。しかし、昼過ぎになると休日ということもあって駅前には多くの人が行き交います。
BONDは携帯電話と同じ4G回線を使用しているので、携帯電話を使用する人が増えるほど帯域が狭くなってしまい、配信が不安定になってしまいます。

そこで、メインとバックアップで使用する予定だった2台のBONDのうち、バックアップ側の回線を減らし、メインで使用するBONDを4回線から5回線に強化しました。その甲斐あって、人出の多い時間帯の本番も無事に乗り切ることができました。

ライブ配信の現場では、性能のいい機材を使うことも大切ですが、あらゆるトラブルに備え、臨機応変に対応することも重要です。

まとめ

BONDは購入するにはハードルの高い機材ですが、弊社でオペレーションも含め担当いたしますので、光回線の敷設が込み合っていて困っている方や、BONDを使用した配信に興味のある方など、ぜひお気軽にご連絡ください。

また、BONDと同じく光回線の環境が整っていない現場でも安定したライブ配信を実現可能にするため、状況によっては「TVU Router」を使用することもあります。TVU Routerの詳細については後日アップ予定です。